基本のレシピを見つける
レシピを見ながらなら作れるけど、自分のレシピが作れない⁉
世の中にはたくさんのスパイスカレーのレシピがあります。『基本のチキンカレー』だけでもたくさんあるので、どれが本当の『基本』なのか迷ってしまうかもしれません。でも残念ながらでも、スパイスカレーのレシピに『基本』は存在しません。というのは、『基本』=その人にとってちゃんと美味しくて一番シンプルなカレーというニュアンスだからです。なので人それぞれに違う『基本』があるのは仕方がありません。
逆に考えると、『基本のレシピ』を作れる人は、自分のスパイスカレー作りの『基本』を持っているということです。自分の『基本』のレシピを持つことは、とても大事です。
『基本』のレシピを持つことの大切さ
『基本』のレシピを持つことがなぜ大切なのか?それは、比較できるからです。例えば、ある『基本』のレシピを例にお話しします。
『基本のチキンカレー1人前』
【材料】
・油 大さじ1
・水 150ml
・玉ねぎ 1/4個 みじん切り
・ホールトマト 50g
・にんにく 1かけら みじん切り
・しょうが ニンニクと同量 みじん切り
・鶏モモ肉 唐揚げサイズ5個
<パウダースパイス>
・コリアンダー 小さじ1/2
・クミン 小さじ1/2
・ターメリック 小さじ1/4
・カイエンペッパー 小さじ1/4
【作り方】
①フライパンに油、にんにく、しょうがを入れて弱火にかける。
②にんにくとしょうがの香りが立ったら、強火にして玉ねぎを炒める。
③玉ねぎの水分が完全にとんだら、弱火にしてトマトを炒める。
④トマトの水分が完全にとんだら、スパイスを入れて炒め、香りが立ったら鶏肉を入れてからめるように炒める。
⑤肉の表面が白く色づいたら、水を入れて弱火で15分煮込む。
こういう『基本』のレシピを作ったとします。この味が『基本』の味(A)になります。
そして、次はこのレシピのスパイスを少しいじります。
例えば、これに「カルダモン小さじ1/2」を追加します。そうすると出来上がったものは、『基本』の味+カルダモン小さじ1/2の味(B)になります。
これで、(A)と(B)の味の比較ができます。その違いから「カルダモン 小さじ1/2」が、どんな効果を生むのかが分かります。
次に、作り方③の「玉ねぎの水分が完全にとんだら」を「玉ねぎが透明になったら」に変更します。そうすると、できあがった味の差から「玉ねぎの炒め具合」による違いが分かってきます。
こんなふうに、『基本』から材料や作り方にを少しだけ変更して比較する、を繰り返します。すると、ひとつひとつの材料の具体的な働きや調理法による変化が分かってきます。変更するのは少しだけです。一度にたくさん変えるとすると、どの変更がどの変化の原因なのかわからなくなるからです。そして、これを繰り返すことによって、知識・経験が積み重なっていき、いずれスパイスカレーを作るときに意図的に味をコントロールすることができるようになります。
これが『基本』のレシピを持つことの大切さです。