スパイスカレーにおける『炒める』の意味~たまねぎ編~

スパイスカレーでは、玉ねぎをどの程度炒めたらいいの?

 玉ねぎの炒め具合で悩んだことはないですか?

 今回は、玉ねぎを『炒める』ことについて考えたいと思います。

玉ねぎを『炒める』程度と状態

 『炒める』とは、”油と一緒に材料をかき混ぜながら熱すること”です。『炒める』程度で、玉ねぎの状態がどのように変化するかを見ていきたいと思います。

①油がまわる → 玉ねぎのうま味や水分が閉じ込められる。火は通っていないのでほぼ生の状態。煮物などの下ごしらえ用。

②透明になる → 玉ねぎの芯まで火が通るがしゃきしゃき感は残る。水分と辛み成分の蒸発・揮発・分解が始める。

③しんなりする → 玉ねぎの食感が柔らかくなる。水分と辛み成分が蒸発・揮発・分解は進みむが、まだまだ残っている状態。

④色ずく → 玉ねぎの水分の蒸発と辛み成分の揮発・分解がさらに進むがまだ残っている。水分が飛んだ玉ねぎの表面でメイラード反応が起こり始める。

⑤あめ色になる → 玉ねぎ全体が茶色く変化します。水分が飛んで100℃を超えないと、メイラード反応は起きにくいです。メイラード反応の適正温度は160~180℃です

スパイスカレーの場合の玉ねぎの炒め具合

 では、どの段階まで『炒める』のが良いのでしょうか? 

スパイスカレーの場合、玉ねぎを『炒める』目的は、具材として食感を楽しむのではなく、ルーの一部にすることです。そのため、なるべく美味しいところを残し、新しい美味しさを加えてやる必要があります。『炒める』ことで、残る美味しさと加わる美味しさは次の通りです。

①「ショ糖」が加熱されることにより変化する「果糖とブドウ糖」の甘味。「果糖」は「ショ糖」より甘味が強い。

②辛み成分が水分と一緒に蒸発または、揮発・分解されることで、玉ねぎが本来持っている甘味やうま味が感じやすくなる。

③メーラード反応により、香ばしさやコクが加わる。

このすべてを活かすためには、最低でも⑤はクリアしないといけません。⑤をクリアしているなら、色味はお好みでいいと思います。

ちなみに私は2つの目安で、最低でもこの程度は炒めます。

水を加える方法について

 玉ねぎを炒めるときに水を加える方法があります。これにも意味があり、注意点すべき点があります。それはタイミングです。

水を加える理由は、

 ①メイラード反応で生まれた色味を、玉ねぎ全体に広げるため

 ②焦げ付き防止のため

です。この2点を踏まえると、水を加えるタイミングは、メイラード反応が始まってからということになります。また②の焦げ付き防止は、温度の上がりすぎを抑える意味があります。ですが量を多く入れすぎると、せっかくメイラード反応の適正温度まで上がった温度が100℃以下に下がってしまいます。焦げない程度を目安に少しずつ加えることがポイントです

※参考HP ハウス食品株式会社  樋口直哉「TrabelingFoodLab.)「あめ色の玉ねぎのカガク」

 

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