シャバシャバカレーは味が薄くなりがち?

「味の濃さ」について考えてみよう!

「味の濃さ」は、どうやって決まるのでしょうか?

「味が薄い」と物足りませんし、「味が濃い」と途中で嫌になります。

塩を多くいれたら味が濃くなる?
ドロッとしたものは味が濃い?
色が薄い料理は味も薄い?

今回は、
シャバシャバカレーでも、
ドロドロカレーでも、
調度いい味の濃さに仕上げられるように、
「味の濃さ」という曖昧なものを明確にしたいと思います!

〇「味」の種類

そもそも「味」とは何なのでしょうか?
基本的に「味」は、「五原味」の5種類に分類されています。
・甘味
・酸味
・塩味
・苦味
・うま味
和食や洋食など一般的な「味」といえば、この5種類になります。

インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、6種類。


・甘味
・酸味
・塩味
・辛味
・苦味
・渋味
ちなみに、アーユルヴェーダでは、
この6種を毎食摂るのが望ましいとされています。

四川料理では、7種類。


・痺れる味(麻)←婆豆腐!
・辛味(辣)←油(ラー油)!
・甘味(甜)←麺醤(てんめん醤)!
・塩味
・酸味
・苦味
・香味

他にも「味」があるようですが、
今回は、上記のものから、
①甘味
②酸味
③塩味
④苦味
⑤うま味
⑥辛味
⑦痺れる味
⑧渋味

⑨香味
の9種類をピックアップして、見ていきたいと思います。

〇「味」を感じる経路の違い

動物の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)のうち、
舌が受容体となり「味覚」として、感じられるのは、①~⑤
甘味・酸味・塩味・苦味・うま味
の5種類であると、生理学的に位置づけられています。

⑥~⑨は味覚として感じるものではありません。

⑥辛味は、辛み成分によって感じ方が違います。


唐辛子に含まれるカプサイシンや、コショウに含まれるピペリンは、
舌にある、高温を痛みとして感じる受容体が感じ取ります。
わさびに含まれるアリルイソチオアネートは、
逆に、低温を痛みとして感じる受容体が感じ取ります。
どちらにしても、辛味は痛覚として感じる味であると言えそうです。
激辛好きの人は、Mの素質があるのかもしれませんね。

⑦痺れる味は、山椒や花椒などで感じられる味です。


山椒や花椒に含まれる辛み成分のサンショールが口に入ると、辛味に加えて痺れを感じます。
この痺れは、麻痺(局部麻酔)作用によるものです。これは、歯科で使う局部麻酔と同じ働きがあるそうです。

⑧渋味は、口の中が収れん作用(組織や血管を縮める作用)を起こすことで感じます。
物理的な刺激なんですね。

⑨香味は、四川料理では、香りのことです。舌が感じる味とは別のものです。

まとめると、

①~⑤は、味覚として味蕾を通して感じる味
⑥は、痛覚
⑦は、痛覚と麻酔効果
⑧は、物理的刺激
⑨は、香り

ということになります。

 

〇減塩から「味の濃さ」を考える。

美味しく感じる塩分濃度は、血液とほぼ同じ1%だそうです。
なので塩の量を減らしても、味が薄く感じられない減塩の工夫に、
「味の濃さ」を考えるヒントがあります。

【減塩の工夫】(一例)
・香ばしさの利用
・酸味の利用
・香辛料の使用
・うま味の利用
・塩分と甘味は一緒に減らす

これらと①~⑨の味を照らし合わせると、
直接的な味の濃さにつながる①甘味と③塩味を減らす代わりに、
②酸味、微妙ですが④苦味(香ばしさ)、⑤うま味、⑨香味(香辛料・香ばしさ)
が利用できると考えられそうです。

しかし、②酸味と④苦味は、
度が過ぎると料理全体の味のバランスが崩れてしまいます。
あくまで適量を加える必要があります。

⑤うま味と⑨香味に関しては、
個人的な意見になるかもしれませんが、
加える量に上限が無いように感じています。

さらに、「塩分と甘味は一緒に減らす」から読み取れるのは、
お互いの味を抑えあう抑制効果や、逆に伸ばしあう相乗効果です。
味単体で考えるのではなく、組み合わせを考えて使うことも大事です。

〇スパイスカレーの「味の濃さ」

さてこれまでのことを踏まえて、
最後にスパイスカレーの「味の濃さ」について考えます。

②塩味に関しては、適正塩分濃度の全体の1%が決まっていますので、
それより減らすと薄く、増やすと塩辛く感じるということになります。

問題は、それでも味が薄く感じた場合です。
①甘味を加えると、抑制効果でより薄く感じられます。

なので、
☆適量の酸味を加える(②酸味)
☆玉ねぎを炒めるときにメイラード反応をしっかりと起こす(④苦味⑨香味)
☆香りのスパイスを効果的に使う(⑨香味)
☆うま味を多く含む食材を使う(⑤うま味)
という方法が考えられます。

個人的なおすすめですが、
シャバシャバカレーでも、うま味を十分に加えてやると、
水っぽさのない飲み干すカレーができますよ。

是非お試しを!

 

参考資料

「元気の種」北海道医療大学准教授 堀田清
「減塩の工夫」公益社団法人兵庫県栄養士会
・『誰でも一回で味が決まるロジカル調理』管理栄養士前田量子監修 主婦の友社

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