スパイスカレーの『乳化』について①~乳化の必要性は?~

どっちのカレーが美味しそうですか?

上の写真の2つのカレーの違いは、水分と油分が分離しているか、分離していないかです。左のカレーは分離しています。でも右のカレーは、濁って見えると思います。これは『乳化』しているためです。

『乳化』とは?

『乳化』とは、本来混ざり合わない油と水のような物質の一方を微粒子化することにより、他方に分散させて混ざり合っているような状態にすることです。

例えば、イタリアンドレッシングを思い浮かべてみてください。静止した状態だと水分の上に油が浮いた状態になっています。しかし振ることで細かくなった油の粒子が水分の中に分散して『乳化』状態になります。

『乳化』の必要性は?

では『乳化』は、どんな時に必要になるのでしょうか?普段食べている、油分と水分を含む料理には、必ず『乳化』状態のもの、『非乳化』状態のものの両方が存在します。

例えば、ペペロンチーノは『乳化』させる料理の一つです。その出来不出来は、完成時の状態で分かるそうです。

A油が皿の底に溜まっている
B油が満遍なくパスタに絡んでいる

 

Bが美味しくできた出来た状態です。違いは何かと言うと、Aは乳化できていない、Bは乳化できているということです。
パスタ料理では、トマトソースでもクリームソースでも、調理過程にソースを乳化させる工程があります。その主な理由は2点あります。

 

①粘度が生まれることでパスタに絡みやすくするため
②味や食感を均一化するため

 

フランス料理でも『乳化』は、基本中の基本のようです。バターなど油脂を含むものと、水分を含むものを合わせてソースを作ることが多いからだそうです。
ソースかスープか、その違いがポイント
『非乳化』の食べ物を見てみましょう。
写真の麻婆豆腐は、油分と水分が分離してますね。考えてみると、麻婆豆腐はレンゲで食べます。スープごと豆腐をすくうので、パスタソースやフランス料理のソースのように、「絡む」「均一化」の必要性はあまり無いですね。

 

「ソース」と「スープ」の違いは、『乳化』の必要性を知るうえで大きなヒントになりそうです。

 

「ソース」は付けるもので、そのものを楽しむものではありません。
「スープ」は飲むものなので、そのものが主役になり得るものです。

 

スープ料理の代表としてラーメンを見てみます。ラーメンには、『乳化』、『非乳化』の両方があります。

 

『乳化』させたラーメンは白濁して、味もこってりします。豚骨ラーメンがまさにそれですね。
『非乳化』のラーメンは、澄んでいて、味はあっさりします。油分自体が少なくなるように作られています。

 

また、味変で後からマー油や背脂をトッピングするなど、『乳化』『非乳化』が自由に使い分けられています。

 

つまり『乳化』するかしないかは、作る人の好み次第ということになります。

 

『乳化』の必要性についてまとめると、

 

「絡む」「均一化」が必要か必要でないかで、『乳化』するかしないかを決める。
必要でないとしても、好みでしてもいいよ。
 
ということになりそうです。

 

 

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