とろみの科学

トロトロとシャバシャバをコントロールしたい!

スパイスカレーを、トロトロとシャバシャバに作り分けてみましょう!

今回は、カレーのとろみについて考えてみたいと思います。

〇とろみの要因

料理でとろみをつけたいときに使うのは、小麦粉片栗粉が多いかと思います。
その他では、米粉、コーンスターチなども使われるようです。
とろみを生み出す作用がある物質には、「グルテン」「デンプン」があります。
小麦粉は、「グルテン」と「デンプン」の両方を含んでいます。
片栗粉、米粉、コーンスターチは、「デンプン」の粉です。
それぞれとろみの質が違います。
とろみをつけたくない場合は、これらを含まない材料で作ればよいです。


〇グルテン
「グルテン」は、小麦に含まれるたんぱく質です。
「グルテン」は、水とまぜると粘り気と弾力がでます。
小麦粉の強力粉・中力粉・薄力粉の違いは、グルテンの含有量の違いです。
強力粉は、パン、パスタ、ピザ生地
中力粉は、うどん、お好み焼き、たこ焼き、生パスタ
薄力粉は、クッキー、ケーキ、てんぷら、唐揚げ、ムニエル
のように活躍の場が違います。


〇デンプン
「デンプン」は、水と一緒に加熱すると糊状になります。
「デンプン」には、由来によっていろいろな種類があります。例えば、
米粉は、米由来の「米デンプン」。
片栗粉は、昔は「カタクリ」という植物から採られていましたが、最近は馬鈴薯から採られている「ばれいしょデンプン」。
キャッサバという植物の根からとれるデンプンは、タピオカの原料の「タピオカでんぷん」などがあります。
また「デンプン」には天敵がいます。「アミラーゼ」という酵素です。
「アミラーゼ」はデンプンを分解して、とろみを無くしてしまいます。


〇スパイスカレーのとろみをつける

とろみをつける場合は、だまにならないように水で溶いてから入れるようにします。
小麦粉:水=1:1片栗粉:水=1:2ぐらいの割合です。
とろみの程度は、少しずつ加えることで調節してください。
小麦粉が作るとろみは「ドロッ」とした感じなので、欧風カレーのようなカレーらしい仕上がりになります。
片栗粉が作るとろみは「デロンッ」という粘り気があると感じで、あまりカレーには向かないかもしれません。カレーうどんのとろみや八宝菜のとろみをイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。


〇とろみをキープする

注意が必要なのは「アミラーゼ」の存在です。
前述したとおり「アミラーゼ」は、とろみを解除してしまう働きがあります。
しかし「アミラーゼ」の特徴をつかんでいれば対応できます。
「アミラーゼ」はたんぱく質からできているので、高温に弱いです。
75~90℃で20分以上熱すれば完全に活動を止められるので、そこを利用します。
例えば、アミラーゼを含む食品でカレーに使いそうなのは「はちみつ」の場合は、
①はちみつを入れて、グツグツと沸騰した状態を20分以上煮込む → アミラーゼ失活


②小麦粉や片栗粉でとろみをつける。 → デンプンが糊化
この順番で調理してください。

あともう一つ。
「唾液」にも「アミラーゼ」が含まれていますので、味見の際は鍋に唾液が入らないように気を付けてください。

<追記>

肉を煮込むことで、肉に含まれたコラーゲンが変質した「ゼラチン」がスープ内に溶けだします。
この「ゼラチン」も、スープにとろみをつけてくれる成分のひとつです。
ただ肉から「ゼラチン」が溶け出すのは、弱火で大体30分以上煮込む必要があります。
またゼラチンが流れ出ることで、肉の風味は落ちます。
詳しくは、『「肉の煮込み」を考える』をご覧ください。

<参考資料>
・グリコ栄養食品食べ物事典

・S&Bエスビー食品株式会社「とろみが弱くなる原因。とろみをつける方法」

 

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